未然防止は、単なる問題解決ではなく、問題が発生する前に手を打つ考え方です。「未然防止3ステップ対策」は、ISO 9001の修正処置、是正処置、予防処置と密接に関係しています。ここでは、機械加工現場での寸法違いによる品質不具合事例を活用して、この両者の関係性について、解説します。
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事例:寸法違いによる品質不具合の発生
• あるべき姿:100 ± 1 mm
• 現状の姿:98 mmの不良品10個が顧客で発見される
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<ISO 9001の視点>
修正処置とは、発生した問題を即座に是正し、さらなる影響を防ぐ対応を指します。
<事例の対応>
原因:検査手順に寸法検査項目が含まれていなかったこと。
対策(修正処置):検査手順に寸法検査項目を追加。不良品は隔離し、顧客への流出を防止。
緊急対応は問題を「その場で止血」する役割を果たし、被害拡大を防ぎます。ただし、これだけでは問題の再発防止はできません。多く企業では、ここまでの処置で終わっています。
<ISO 9001の視点>
是正処置では、発生した問題の原因を分析し、再発を防止する仕組みを構築します。
<事例の対応>
原因:工程設計時に、寸法不良のリスクが想定されていなかったこと。
対策(是正処置):工程設計手順を見直し、寸法不良のリスクを検証。他の工程でも同様のリスクがないか確認し、対策を実施。
是正処置により、同様の問題が将来的に繰り返されない仕組みを整えます。
<ISO 9001の視点>
予防処置は、まだ発生していないリスクを特定し、その芽を摘むことで問題の発生を防ぐ取り組みです。
<事例の対応>
新製品において、製品・工程設計手順を見直して、新製品での設計・製造不具合リスクを想定。
原因:想定した不具合リスクの根本原因追究。
対策(予防処置):根本原因から予防処置を誘導する。
予防処置は、過去の教訓を新しい状況に活かすことで、さらに高い品質を実現します。
① 緊急対応(修正処置):現場での迅速な対応で影響を最小限に抑える。
② 再発防止(是正処置):問題の原因を分析し、同じ問題を二度と発生させない。
③ 未然防止(予防処置):新しいプロセスや製品における潜在リスクを取り除き、さらなる品質向上を目指す。
これらの3ステップを実践することで、単なる問題解決に留まらず、将来のリスクを制御する仕組みを構築できます。ISO 9001は、このような未然防止の取り組みを効果的に支えるフレームワークと言えます。